別れさせ屋は違法or犯罪?依頼するのは良くないこと?
別れさせ屋という聞きなれない響きに「違法業者では?」「そもそも使うこと自体が倫理的ではない」と疑念を抱く人も多いようです。
実態はイメージと異なり、一般的な企業と同じく遵法精神を元に経営されている会社です。
別れさせ屋を使うことそのものに不安を感じている人へ向けて、どんな会社か・違法性を指摘されないためにどういったルールがあるのか、詳しく解説します。
別れさせ屋は「国から許可を得た会社」
別れさせ屋という名称は、どんな業務に特化しているか分かりやすく説明するための「店名」のようなものです。本来は身元調査などを行う「興信所(探偵会社)」と呼ばれる会社のひとつでした。こうした探偵業は、無許可で営業することが出来ません。かならず公安委員会に届出をする必要があります。
筆者が所属する「別れさせ屋株式会社」も、東京都公安委員会(警察の一組織)から許可番号を取得して営業しています。届出制というルールがある以上、別れさせ屋には様々な法を遵守する義務が課せられています。
探偵業許可を得た会社にできること・禁止されていること
別れさせ屋が探偵業者として従う「探偵業の業務の適正化に関する法律」の第二条で、届出をした会社に許される業務内容が記載されています。
ここには聞き込み・尾行・張り込みが出来ると明記されており、調査業務については違法性がない事が分かります。
「探偵業法」第二条の要約
- 他人から依頼を受けて
- 人・所在・行動について
- 面接による聞き込み、尾行、張り込みなどに類する営業
以上を「探偵業」と定義する。
ただし、調査方法・目的が過激化することは禁止されています。
警備業法十五条の「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない」という一文が探偵業者にも適応されます。たとえ悪意がないとしても、別れさせ屋が相手の嫌がるような連絡・接触をすることは出来ません。
ほかにも「調査結果が犯罪・差別・その他の違法な行為のために用いられると知ったときは探偵業務を行ってはならない」(警備業法第九条)という決まりがあります。依頼人にターゲットを傷つける目的があると知ったときは、別れさせ工作をお断りします。とはいえ傷つけるという解釈も様々で、心理的な復讐目的は問題ないケースも多くあります。
紹介したのはほんの一部ですが、別れさせ屋には様々な制限が存在します。高い遵法精神がないと営業し続けることは出来ず、万一のことがあれば許可を取り消されたり業務停止処分を受けたりすることも有り得ます。
「別れさせ屋はハニートラップを使う」という誤解
「別れさせ屋は肉体関係を使った工作をする」という誤ったイメージがあり、これを理由に不道徳的だと非難されがちです。
しかし、実際には工作員がターゲットとの間で一線を越えることはありません。もしそのようなことがあれば「肉体関係を使った営業=公序良俗に反する」とされ、探偵業の許可も取り消されかねない重大事件に発展するからです。
2018年まで依頼料の未払いで争った別れさせ屋の裁判(リンク)でも、別れさせ屋が肉体関係を計画していなかったことから「別れさせ工作は人格や尊厳を傷つけるものではない」との判決が下りています。
それでも多発する別れさせ屋の不祥事
残念なことに、別れさせ屋による不祥事は多発しています。
あまり表面化していない問題としては、仕事をしない悪徳業者による詐欺事例です。別れさせ屋としての工作は請け負うものの、依頼人に「別れさせ屋の依頼をバラす」と脅す業者も存在するようです。そればかりか、2010年にはターゲットに本気で恋をした別れさせ屋が殺人事件を起こすという事件まで発生しています。
こういった事態を防ぐには、別れさせ屋がそれぞれ社内で厳格なルール作りを進める必要があります。スタッフの高い探偵業リテラシーも求められますし、一定レベルの社会経験が必要であることは言うまでもありません。
別れさせ屋を使うことは「悪いこと」なのか
「たとえ法律が許していても、別れさせ屋そのものの存在が胡散臭い」という意見があります。けれども、そう断定してよいのでしょうか。
日本の探偵業は、1889年に始まった伝統ある職業です。
当初は良家の人々から「我が子の交際相手のことが知りたい」「浮気調査をしてほしい」という依頼が集まっていたそうです。自由恋愛による結婚が主流になってからは「別れさせるところまでワンストップでやってほしい」「復縁したい」という要望が依頼のメインを占めるようになりました。
いずれにしても、依頼人によって生涯秘密にされるセンシティブな内容です。現代でも年間数千人が別れさせ屋を利用していると言われていますが、たとえ匿名でも自分の体験を話す人はいないでしょう。
「自分は聞いたことがないから」という理由で疑念の目を向ける人は、後を絶ちません。そうした人の声に耳を傾ける必要はないと感じています。
依頼先がきちんとした会社か見極めることが大切
「別れさせ屋に依頼して本当に良かった」と思えるようにするには、遵法精神と社内ルール作りに優れた会社を選ぶことが大切です。
肉体関係を使った会社に依頼すると、別れさせ工作に失敗するばかりか、ターゲットから慰謝料を請求される可能性もあります。詐欺を働く業者については言うに及びません。
健全に経営している別れさせ屋を見極めることが、悩める人にとって最も大切なことです。